
PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)
当院では椎間板ヘルニアに対してPLDDという身体への負担が少ない手術方法を行なっています。
PLDDとはPercutaneous Laser Disc Decompressionの略で、日本語に訳すと「経皮的レーザー椎間板減圧術」といいます。
椎間板ヘルニアは、脊椎の間にある椎間板という部分が押し出され、はみ出すことにより神経を圧迫することにより、痛みや麻痺を引き起こす病気です。PLDDはその椎間板の中に針を刺しレーザーを照射することにより、椎間板の中に空洞ができます。その空洞をなくすために椎間板が萎縮することにより、出っ張っていた部分が解消されるのがPLDD治療の仕組みです。
従来、椎間板ヘルニアの手術では、皮膚を切開し、骨を削る負担の大きい手術でしたが、PLDDは皮膚も切らず針を刺してレーザー照射するのみのため、とても負担が少なく手術時間もとても短くなっています。
PLDDのメリット
・手術の侵襲性がとても低い
・手術時間が短い
・入院日数が短い
・手術後の回復が早い
PLDDのデメリット
・適応になる状態が限られている
<症例>
ラブラドール 14歳 雄
1年前からふらつきがあり薬を飲んでいたが、最近になり悪化
CT検査にてL7−S1椎間板突出による脊髄神経の圧迫(赤丸部分)を確認しました。
突出しているL7−S1椎間板に針(赤矢印)を刺入、PLDDを実施しました。
処置翌日に退院
3日後より改善がみられ状態安定。服用していた鎮痛剤も休薬することができました。
肩関節脱臼
肩関節脱臼は、外傷性のものと先天性のものに分けられます。
外傷性のものはあらゆる年齢・品種で生じますが、猫での発症は稀です。
また、先天性のものは、通常トイ・プードル、シェットランド・シープドッグなどの小型犬に多く発生し、歩行の異常は若齢時に観察されます。
【症例】
トイ・プードル 6ヶ月齢 雌
右肩関節内方脱臼。
初回来院時は無麻酔下での非観血的整復と固定術を行いましたが、その後脱臼を繰り返したため全身麻酔下での観血的整復を実施しました。
この症例では、上腕二頭筋腱をスクリューとワッシャーで固定し、上腕骨の脱臼を抑制する方法を取りました。
術後のレントゲンです。
この症例は、術後1ヶ月ほどで前肢を地面につけるようになり、その後の経過も順調でした。
骨盤骨折
骨盤骨折の原因で一番多いのは交通事故です。
そして、膀胱や尿道破裂、ヘルニア、末梢神経神経損傷といった併発する損傷が多く生じるため、完全な身体検査が重要となります。
【症例】
柴犬 雄 1歳齢 交通事故による骨盤骨折
この症例ではプレートを使用して右腸骨の固定術を行いました。
術前のレントゲン写真です。
術後のレントゲン写真です。
この症例は、術後2ヶ月ほど包帯による固定を行い、その後包帯を外しても歩様は良好でした。
後肢骨折
【症例】
紀州犬、8ヶ月齢、オス。
車の荷台から落下
診断:右後肢脛骨遠位端横骨折
(骨折が成長板に沿っておこると同時に骨幹端骨折を含む、Salter-HarrisⅡ型の骨折)
骨折時のレントゲン写真です。
この症例は、ピンによる内固定とギプスによる外固定を行いました。
術後の写真です。
この後順調に回復し、2ヶ月後に抜ピンを行いました。
歩行も問題ありません。
椎間板ヘルニア
脊椎と脊椎の間に存在する衝撃吸収装置である椎間板が、本来の位置から脱出し、椎間板の上を走る脊髄神経を圧迫することで、神経の障害を生じる疾患です。圧迫の度合いによって後ろ足が思うように動かなかったり、排尿、排便ができなくなります。
ミニチュアダックスフンド、ビーグル、ペキニーズなどで多くみられる病気です。
診断は神経学的検査、X線、脊髄造影検査、CT、MRI検査で行います。
【症例1】
ミニチュアダックスフンド、メス9歳。後ろ足が立たなくなったため、来院。
内科的治療に反応しなかったため、造影CT検査を実施。第4、第5腰椎の間に脊髄を圧迫する部位を確認しました。
片側椎弓切除術にて圧迫していた椎間板物質を除去しました。
入院しながらリハビリを行い、術後1か月ほどで後ろ足を使いながら歩けるようになりました。
術後半年経過し、現在はほぼ正常に歩行しています。
手術直後
手術後1ヶ月
【症例2】
ミニチュアダックスフンド、オス12歳。2日前から起立困難。
内科治療に反応せず、CT検査を実施したところ、第12.13胸椎の間に脊髄を圧迫する部位が確認されました。
片側椎弓切除術にて大量の椎間板物質を除去し圧迫をとりのぞきました。
術後25日で感覚は良好に改善されていました。