
ICGを用いたレーザー治療
2017年6月7日
当院では腫瘍の治療にICG(インドシアニングリーン)という色素を用いたレーザー治療を行なっています。
ICGは緑色した色素でレーザー光を吸収し発熱する効果があります(温熱効果)。そこでICGを腫瘍表面に塗布したり、注入した後、レーザー光を当てることにより周囲組織の損傷を最小限にし腫瘍組織を凝固・蒸散することができます。
色素を付けてレーザーを当てるのみですので身体への負担が非常に少なく、高齢や持病があり手術で切除するには負担が大きい腫瘍の治療などに特に有効です。また、浸潤性の腫瘍に対する補助療法や、腫瘍等の病変に伴う症状の緩和にも役立ちます。
症例
MIX 12歳 雌
2週間前にできたしこりを主訴に来院
右の胸にできた腫瘤(しこり)。悪性腫瘍を疑ったためCT検査、手術による切除となりました。
CT検査にて腫瘤が肋骨の間に浸潤を確認。
通常であれば肋骨を含めた胸壁を切除する手術が必要になります。
しかし、その手術方法であると負担が非常に大きく、年齢も考慮しICGを併用した手術方法を選択しました。
皮膚を切開し、皮膚の下にある腫瘤を肋骨を温存しつつ可能な限り切除
肋骨の間に浸潤している部分にICGを塗布
レーザーを照射。腫瘍の浸潤を疑う部位を蒸散
負担の少ない手術であったため高齢であるにも関わらず手術翌日より一般状態もよく、早期に退院できました。
病理の検査結果では「脂肪肉腫」という悪性の腫瘍で、肋骨の間に浸潤しているため完全に切除できていませんでしたが、浸潤を疑う部位にICGを併用したことにより、その後も良好に経過しています。