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心室中隔欠損症
VSD:Ventricular Septal Defect
VSDの欠損孔の場所により分類されています。Kirklin分類によると、Ⅰ型:漏斗部欠損 Ⅱ型:膜性部欠損 Ⅲ型:心内膜床欠損 Ⅳ型:筋性部欠損に分類されます。犬猫では人と同様Ⅱ型の発生が多いとされています。
好発犬種は日本では柴犬やミニチュアダックスなどです。
本来であれば左心室から体全体に送りたい血液が穴を通して右心室に流れてしまうことで、徐々に心臓に負担がかかります。穴が小さく漏れる血液量が少ない場合は無症状のことが多く、身体検査での聴診により発覚することもあります。穴が大きい場合には心臓への負担が大きくなるため、遊ばない、元気がない、呼吸が早いなどの症状が認められます。また、病気が進行すると、元々は左から右への血液の流れだったはずが、右から左へ逆へ流れてしまう場合があります(アイゼンメンジャー症候群)。この場合、舌の色が紫色になるチアノーゼを起こすことがあります。
ブルドッグ 5ヶ月齢 オス
かかりつけの動物病院で予防接種時に心雑音を指摘されたため、当院に精査目的で来院しました。
特に気になる症状はないとのことでした。
<一般身体検査>
聴診により右心尖部にて心雑音を聴取しました。
<レントゲン検査>
肺野のX線透過性は正常で、心拡大も顕著ではありませんでした。
<超音波検査>
超音波検査で最も多いタイプのKirklin分類Ⅱ型(膜性部欠損)のVSDであることが分かりました。
欠損孔は小さく、シャント量も少ないため、肺高血圧に陥るリスクは低いと判断しました。
治療
穴が小さく、短絡量が少ない場合、成長とともに穴が塞がってしまうこともあります(自然閉鎖)。
また塞がらなくても、生活する上で弊害になる様な状況の場合は経過観察をおこないます。
今回のブルドッグ君も定期的検査は必要なものの、経過観察といたしました。
心臓の負担がひどい場合は、病期に合わせたお薬を使いますが、根本的な治療は開心術による穴の閉鎖をおこなう必要があります。ただし、アイゼンメンジャー症候群(肺高血圧症に陥り、右心室から左心室へと短絡血流の方向が変わってしまう状態)の状態では手術は禁忌となります。
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