睾丸が正常な位置に降りずに、腹腔内にとどまっている状態の場合、停留した睾丸は腫瘍化しやすく、切除することが推奨されています。腹腔内の睾丸を摘出するには開腹手術では下腹部を切開して行いますが、腹腔鏡を用いることで小さな傷で睾丸を摘出することが出来ます。
潜在睾丸
Laparoscopic cryptorchidectomy
睾丸が正常な位置にない状態のことを『潜在精巣』、または『陰睾』、『停留睾丸』といいます。片側のこともあれば両側のこともあります。
睾丸は通常、生後6ヶ月くらいまでに陰嚢に下降します。潜在精巣とは睾丸が正常に下降せず、腹腔内や鼠径部に停留してしまう状態のことを指します。特に小型犬に多く見られます。
潜在精巣は自覚症状はありません。しかし放置すると腫瘍化するリスクが10倍以上も高くなるため、潜在精巣は早期に摘出することが推奨されています。
正常な位置に降りてこなかった睾丸は鼠径部の皮膚の下または腹腔内に停留する2パターンがあります。稀に睾丸の欠損という場合もあります。
皮膚の下に睾丸がある場合は開腹手術は必要ありませんが、睾丸が腹腔内にある場合は、開腹して腹腔内の睾丸を探すわけですが、一般的に腹腔内に停留した睾丸は正常よりも非常に小さく、見つけるのが大変なこともあります。その場合は切開を大きくせざるを得ないこともあります。
これに対し腹腔鏡を使用した潜在精巣摘出術は小さな傷を2〜3箇所切開して、カメラを腹腔内に挿入して精巣を探しますので、大きく切開する必要がありません。切開創が小さいので術後の痛みも少ないのも特徴です。
治療の様子
症例
ゴールデン・レトリバー オス 1歳 症状なし
検査
CT検査で両側とも腹腔内に精巣が認められました。
診断
腹腔内停留睾丸
治療
腹腔鏡下精巣摘出術
当院では2つのモニターを使用し、術者だけでなく、反対側に立つ者も見やすいようになっています。
腹腔鏡では腹腔内の臓器が拡大されてモニターに映るためとても見やすいです。
傷口はこんなに小さくて済みます
腹腔内にある睾丸を見つけ処理しています
当院のインスタの潜在精巣の投稿です
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