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​動脈管開存症

PDA Patent Ductus Arteriosus

動脈管とは、胎児期に大動脈と肺動脈をつないでいる血管のことです。通常は生まれてすぐ自然閉鎖します。動脈管が閉鎖せず、開いたままの状態で残ってしまう病気を動脈管開存症と言います。犬で見られる先天性心疾患の中では最も発生頻度の高いものとして知られています。

動脈管が開いたままだと、大動脈から全身に送りたい血液が肺動脈を経由して肺、最終的に心臓の左心系に流れるため負荷がかかり、左心不全を起こします。さらに悪化すると今度は右心系にも負荷がかかり、最終的に動脈管を流れる血流が逆転してアイゼンメンジャー症候群とういう状態に陥り、手術不適応の状態となります。

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症状
  • 動脈管が細い場合、症状は軽度なことがほとんどで、ワクチン接種などの診察時の聴診で心雑音を指摘されるケースが多いです。

  • 動脈管が太い場合、咳や呼吸困難、食欲不振、動きたがらないなどの症状が幼い頃(数ヶ月齢からみられます。

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検査・診断
  • 一般身体検査/聴診

​特徴的な連続性雑音が聴取されます。また、股動脈において脈が跳ねるような反跳脈が触知されるのも特徴です。

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  • レントゲン検査
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重度な場合、左心系の容量負荷による心拡大やが認められ、肺循環の血流増大により肺野の血管陰影の増強が認められます。

​短絡血流が非常に多い場合、左心不全から肺水腫を呈することもあります。

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  • ​超音波検査
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動脈管を介して主肺動脈へ向かう短絡血流を確認し、

​連続波ドップラにて連続性波形の流速を測定し、重症度を判断をします。

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  • ​心電図検査
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Ⅱ誘導およびaVF誘導においてR波の増高が認められ、左室負荷の所見が得られることが多い。

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治療
  • 外科的治療 できるだけ早期(生後数ヶ月以内のうち)に動脈管を閉鎖することが最善と考えられます。

   >開胸術による動脈管結紮法

     ・直接法

     ・ジャクソン法

     ・ヘモクリップ法

     直接法は動脈管を露出させる必要があり、動脈管が肺動脈付着部下壁で脆弱化していることが

     多く、この部位を損傷してしまうと大出血につながるため、当院ではジャクソン法または

     ヘモクリップ法で動脈管の閉鎖を行っています。

   

*ヘモクリップ法で動脈管を閉鎖したところ

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>カテーテルによる動脈管閉鎖法

     血管からカテーテルと言われる細い管を挿入し、動脈管を閉鎖する方法です。

     開胸術より手術侵襲が少ない方法です。

     動物の体格や動脈管の形状により適応できないこともあり、動脈管結紮術よりも再疎通のリスクが高

     くなります。

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  • ​内科的治療 

非常に短絡量が少なく、自然閉鎖が期待できる症例に対しては、必ずしも外科治療が必要ない場合もありますが、基本的には外科治療にて完治が期待できる疾患です。

​また、アイゼンメンジャー症候群に陥ってしまった症例に対しては外科治療不適応のため、内科治療を行い、心不全のコントロールを行います。

​当院の治療実績

動脈管開存症(PDA )が犬の先天性心疾患の中で一番多い疾患であることは前述致しましたが、​犬の1000頭に4~5頭の発生率であり、1件の動物病院がPDAに遭遇する確率は開業してから閉院するまでで1症例あるかないかだと言われています。また、猫のPDAはさらに珍しく、1000頭に0.2頭と報告されています。

当院では今までに40頭以上のPDAの診断と20頭以上の治療を実施しており、豊富な経験がございます。

お気軽にご相談ください。

下記は当院で治療した症例の抜粋です。

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